レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化する理由

レスベラトロール

レスベラトロールは、赤ワイン、ピーナッツなどに含まれる天然のポリフェノールで、サーチュイン遺伝子を活性化し若返り効果があることが示唆されています。

一方で、研究過程で不正が発覚して信頼を失ったりと、評判の浮き沈みの激しい成分です。

「本当に若返り効果はあるのか?」
「嘘ではないのか?」

そんな疑問を投げかけられつつも、現在では精度の高い実験が行われ、次第にレスベラトロールの有効性が確かなものになってきました。

レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化させることを、強く示唆する理由についてまとめました。

記事監修

ルサンククリニック院長
長谷川 佳子(KEIKO HASEGAWA)

北里大学を卒業後、横浜市立大学にて美容外科を研鑽。現在は形成外科医として医療を提供する傍ら、思春期の娘と男女双子を育てるワーキング女医ママとして、クリニック治療からホームケアまで情報を発信している。
ルサンククリニック(LECINQ clinic)

レスベラトロールによって酵母菌の寿命が延びる

生物にレスベラトロールを与えた実験では、平均寿命が長くなった結果がいくつも報告されています。

「LIFE SPAN 老いなき世界」の著者シンクレア教授(ハーバード大学)が酵母菌を使った実験では、レスベラトロールを与えた酵母菌の平均寿命が、通常よりもおよそ40%増加する結果となりました。

比較対象平均寿命
(細胞分裂回数)
通常の酵母菌25回
カロリー制限をした酵母菌34回
レスベラトロールを与えた酵母菌34回
酵母菌にレスベラトロールを与えた実験
LIFE SPAN(老いなき世界) P230 より引用

注目すべきは、カロリー制限を行ってサーチュイン遺伝子を活性化させた酵母菌と同じくらい、レスベラトロールを与えた酵母菌の寿命が延びていることです。

レスベラトロールがSir2遺伝子に作用する

しかしこの結果は、レスベラトロールがサーチュイン遺伝子に直接作用している証拠にはなりません。

そこで、サーチュイン遺伝子の1つであるSir2遺伝子を取り除いた酵母菌を使った実験も行ったところ、以下のような結果が得られました。

比較対象平均寿命
(細胞分裂回数)
Sir2遺伝子を取り除き
レスベラトロールを与えた酵母菌
25回
カロリー制限を行い
レスベラトロールを与えた酵母菌
34回
酵母菌にレスベラトロールを与えた実験
LIFE SPAN(老いなき世界) P230 より引用
  • Sir2遺伝子を取り除いた上でレスベラトロールを与えた酵母菌は、細胞分裂が平均的な回数にとどまっている

このことから、レスベラトロールがSir2遺伝子に影響を及ぼしていることを示しています。

さらに

  • カロリー制限を行い、かつレスベラトロールを与えた酵母菌は、35回以上増えていない

という結果から、レスベラトロールには、カロリー制限と同程度の寿命の伸ばす効果があることが示唆されます。

レスベラトロールで寿命が延びた生物

酵母菌を使った実験以外にも、

  • 線虫
  • ショウジョウバエ
  • マウス

でも同様の実験が行われており、それぞれ平均寿命が伸びています。

参考:Resveratrol improves health and survival of mice on a high-calorie diet

ヒトを対象としたレスベラトロールの長寿効果は、実験に長い時間が必要になるため、まだ確かな成果は報告されていません。
しかし、サーチュイン遺伝子による寿命を伸ばす作用は、人を含め細胞を持つ全ての生物に備わっている考えられています。

レスベラトールの有効性を支持するフレンチパラドックス

フランスの食事には、バターやチーズなどの飽和脂肪酸を多く含むものが定番です。
飽和脂肪酸は血液の流れを悪化させる要因になるため、摂りすぎると心疾患を引き起こしやすくなります。
そのため、「フランス人の心疾患罹患率は高いのではないか?」と予想されていました。

しかし実際に調査してみると、フランス人の心疾患罹患率は平均よりも低いことがわかりました。
フランスのボルドー大学の科学者ルノーはこの事実を「フレンチパラドックス」と名付けました。

原因を探るためワイン農家を調べると、赤ワインには抗酸化作用や脂肪燃焼の促進、血流改善などの効果があるポリフェノールが含まれていることが判明しました。

ポリフェノールのなかでもレスベラトロールは、強い抗酸化力を持ち、サーチュイン遺伝子を活性化する“長寿の成分”とされました。
この発見をきっかけに世界中でワインブームが起こり、ワインにおけるレスベラトロールに注目が集まりました。

参考:ポリフェノールと健康について―ワインの話題を中心に―

レスベラトロールの様々な効果

レスベラトロールはその夢の効能に期待が高まる反面、研究の不正が判明して評価が疑われたりと、賛否の多い成分です。
しかし近年では精度の高い実験が行われ、その成果が証明されています。

レスベラトロールのメタ分析(これまでの分析結果の分析)を行ったところ、1日300mg以上のレスベラトロールで総コレステロールや血圧の改善が期待できることがわかりました

レスベラトロールには、サーチュイン遺伝子の活性化以外にも

  • 心疾患
  • 肥満
  • 炎症
  • 血管新生
  • Ⅱ型糖尿病
  • 神経変性疾患

などへの有用性が報告されています。

参考:レスベラトロールの非抗酸化作用について

レスベラトロールが多く含まれる食品

レスベラトロールは、ベリー類、赤ワイン、ピーナッツの薄皮など、果物やナッツ類に多く含まれています。
また、最近ではサプリメントなども多く市販されているので、手軽に摂取することができるようになっています。
参考:therapeutic potential of resveratrol

サプリメントを選ぶ際の注意点

ただし、注意点としてはレスベラトロールにはシス型とトランス型の2種類があることです。

レスベラトロール トランス シス

トランス型は、原材料から取れた状態の安定した分子構造を持ちます。
シス型は、太陽光や熱、酸化などにより分解しやすい不安定な分子構造を持ちます。

さまざまな効果を示すのは「トランス型」のレスベラトロールです。
サプリメントによっては「総レスベラトロール量」という形式で表記されている場合があるので、購入前にトランス型の量を確認しましょう。

レスベラトロールより期待される成分「NMN」

レスベラトロールはサーチュイン遺伝子の活性化することが期待される成分です。
しかし、人間がマウスと同程度の効果を得るためには、毎日赤ワイン100本に相当する量を飲まなければなりません。

また最近では、サーチュイン遺伝子活性化のより詳細なメカニズムが明らかになり、レスベラトロールより何倍も効果が高い成分を探す研究も始まっています。

その中で最も有名なものが、「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」という成分です。

NMNはサーチュイン遺伝子を活性化するNADの濃度を高める作用があり、レスベラトロールよりも直接的にサーチュイン遺伝子を活性化することが判明しています。

マウスを使った実験ではNMNによって寿命が伸びることも確認されており

  • Ⅱ型糖尿病が完治する
  • 生殖能力が甦る
  • 老齢のマウスが若いマウスの運動能力に復活する

などの報告もされています。

NMNは、海外を中心にサプリメントが市販されています。
しかしまだ大量生産する方法が確立されていないため、値段が高いのが特徴です。

さらに、品質が保証されていないサプリメントも出回っており、見た目では判断ができません。

日本でも2020年後半から、NMNのサプリメントが販売されるようになりました。
海外製のものが多いですが、FUROUの「NMN9000」は国内で製造されており、医療・美容専門家・美容研究家がこだわり抜いた国内NMNサプリメントなので、品質もお墨付きです。

これまでレスベラトロールを飲んでいた方は、より効果が期待されるNMNを試してみるののも良いでしょう。

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