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NMNとNRはどちらがNAD+の増やすのに有効?

NMNとNRはどちらがNAD+の増やすのに有効?

長寿遺伝子の活性化に必要な成分NAD+ですが、体に吸収されにくいため、前駆体であるNMN、もしくはNRから摂取することが推奨されています。

長寿や若返りのためには、NRとNMNどちらのサプリを選べば良いのでしょうか?

人間での比較実験が行われていないため正確な比較はできませんが、

  • 反応経路ではNMNの方がNAD+に近い
  • 動物実験では心筋症が改善されたのはNMNのみ

という結果から、現時点ではNMNの方が効果を期待できると言えます。

NRとNMNを比較して、どちらが優れているのかを解説します。

記事監修

ルサンククリニック院長
長谷川 佳子(KEIKO HASEGAWA)

北里大学を卒業後、横浜市立大学にて美容外科を研鑽。現在は形成外科医として医療を提供する傍ら、思春期の娘と男女双子を育てるワーキング女医ママとして、クリニック治療からホームケアまで情報を発信している。
ルサンククリニック(LECINQ clinic)

長寿遺伝子を活性化するNAD+

NAD+は、500を超える生物の代謝反応に関わる重要な物質です。
加齢とともに減少するため、NAD+を補充することで糖尿病やガン、疾患などの予防につながるのではないかと言われています。

しかしNAD+は分子のサイズが大きいため、摂取しても吸収されにくいのが難点です。
そこで注目されているのが、体内でNAD+を合成する素材となる、NMNとNRです。

NMNとNRの代謝回路の違い

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)とNR(ニコチンアミドリボサイド)は、ともに体内でNAD+を合成する素材になります。

NRとNMNの回路
NR → NMN → NAD+の順で合成される
  1. NRが酵素(NRK1/2)によってNMNに変換されます。
  2. NMNが酵素(NAMPT 1/2/3)によってNAD+へと変換されます。
  3. NAD+はその後ミトコンドリアや細胞核内でNAD消費酵素に利用され、遺伝子修復などの反応に利用されます。

反応回路を見ると、NRはNMNを経由してからNAD+へと変化しているので、NMNの方が変換に一手近いと言えます。

NMNにのみ見られた心筋症の改善効果

NMNやNRに関する動物実験は、ヒトを対象とした実験よりも多く行われています。
注目すべき結果となったのは、NMNとNRの両方をマウスに投与して比較したこちらの実験です。

Nicotinamide Mononucleotide: A Promising Molecule for Therapy of Diverse Diseases by Targeting NAD+ Metabolism
(ニコチンアミドモノヌクレオチド:NAD+代謝を標的とした多様な疾患の治療のための有望な分子)

マウスにNMNとNRを投与した結果、NMNは心筋症の改善が見られましたが、NRでは改善が見られなかったという結果が出ています。

NMNを投与したマウスのみ心筋症が改善

体内でNAD+に変換されるのであれば、NMNもNRもどちらでも症状が改善するはず。
しかし、実際にNMNを投与したマウスにしか心筋症の改善は見られなかったことから、現時点ではNMNの方が疾病の改善効果を期待できると言えます。

人間での比較実験はない

マウスを使った実験ではなく、人間を対象とした比較ではどのような結果になるのでしょうか?

NMNを人に投与した研究や、NRを人に投与した実験はありますが、それぞれを比較した実験はまだ報告されていません。

NMNのみ人に投与した研究

対象40歳〜60歳の男性10人
投与被験者を3つのグループに分け
各グループに100mg、250mg、500mgのいずれかを含むNMNのカプセルを経口投与。
結果NMNが健康なヒトに
①安全に投与可能であることを確認
②投与した量に応じて体内で代謝されていることを確認
出典Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men

NRのみ人に投与した研究

対象55〜79歳の健康な男女30名
投与6週間 NR 500mg を1日2回
その後
6週間 プラセボカプセル
結果NAD+が上昇した(プラシーボと比べて、NAD+量が60%上昇)
出典Chronic nicotinamide riboside supplementation is well-tolerated and elevates NAD+ in healthy middle-aged and older adults

現時点で選ぶならNRよりNMN

NMNとNRのどちらがNAD+を増やすのに有効か?
という疑問に関して、まだ検討の余地が多く、正確な答えは判明していません。

しかし

  • 反応経路ではNMNの方がNAD+に近い
  • 動物実験では心筋症が改善されたのはNMNのみ

という結果から、現時点ではNMNの方が効果を期待できると言えます。

NMNもNRも、サプリメントの形で市販されていますが、もしどちらかを選ぶならNMNを選んでみてください。

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