テレビ番組で「アーモンドを食べるとサーチュイン遺伝子が活性化になって長生きできる」と紹介されたことで、アーモンドを食べ続けている方もいると思います。
しかし、本当にアーモンドでサーチュイン遺伝子は活性化するのでしょうか?
結論から言うと、アーモンドに含まれている「レスベラトロール」という成分が、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化すると考えられています。
この記事では、アーモンドがサーチュイン遺伝子を活性化する理由や、レスベラトロールが健康にどんな影響を与えるのかお伝えします。
ルサンククリニック院長
長谷川 佳子(KEIKO HASEGAWA)
北里大学を卒業後、横浜市立大学にて美容外科を研鑽。現在は形成外科医として医療を提供する傍ら、思春期の娘と男女双子を育てるワーキング女医ママとして、クリニック治療からホームケアまで情報を発信している。
ルサンククリニック(LECINQ clinic)
アーモンドでサーチュイン遺伝子が活性化する理由
アーモンドの薄皮には、レスベラトロールという成分が含まれています。
このレスベラトロールには、「カロリー制限と同じくらいサーチュイン遺伝子を活性化させる効果がある」と言われています。
LIFE SPAN(老いなき世界)の著者であり老化研究の第一人者であるシンクレア教授が行った実験では、レスベラトロールを酵母菌に与えたところ、酵母菌の寿命が平均より1.4倍伸びたと報告しています。
空腹状態の酵母菌にレスベラトロールを投与しても、寿命がさらに伸びることがなかったことから、レスベラトロールにはカロリー制限と同じ効果があると結論付けています。
参考記事:レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化する理由
アーモンドに含まれるレスベラトロール
レスベラトロール(Resveratrol)の特徴
レスベラトロールはポリフェノールの一種で、ビタミンCやEと同じく抗酸化作用があります。
最近の研究ではレスベラトロールを継続的に体内に取り入れることで、老化の原因の一つである活性酸素を除去する酵素を生成することが確認されています。
参考:活性酸素と抗酸化物質の化学
さらに最近の研究報告では,
- 抗肥満(抗メタボリックシンドローム)、
- 心疾患
- 炎症
- 血管新生
- Ⅱ型糖尿病
- 神経変性疾患
と、非常に幅広い疾患に対する有効性が報告されています。
参考:レスベラトロールの非抗酸化作用について
レスベラトロールを含む食品
レスベラトロールは人体では生成できない成分なので、食べ物などから摂取するしかありません。
レスベラトロールはアーモンドの他にも、赤ワインやブドウやピーナッツの皮にも含まれています。
アーモンドはどれくらい食べればいいのか?
長寿遺伝子を活性化するのに必要なアーモンドの摂取量ですが、過去に放送されたテレビ番組では「1日にアーモンド20粒」と言われていました。
しかし、正確な根拠は不明です。
そもそもサーチュイン遺伝子の活性化に必要なレスベラトロールの摂取量は、まだ研究段階のため正確に判明していません。
最近の臨床試験では、1日に150mgのレスベラトロールを30日間摂取し続けたところ、カロリー制限と同じ効果が得られたという結果が出ています。
参考:Calorie restriction-like effects of 30 days of resveratrol supplementation on energy metabolism and metabolic profile in obese humans
ただ、アーモンド20粒を毎日食べ続けるとしても、なかなか継続が難しいですね。
臨床研究でも、効果が出るまで30日間継続してレスベラトロールを摂取しています。
そこで、継続的に摂取するためには、サプリメントを活用することが有効です。
レスベラトロールを含んだサプリメントが市販されており、一粒に10mg〜70mgほど含まれています。
レスベラトロールより注目のNMN
以前はサーチュイン遺伝子を活性化する分子は、レスベラトロールしか注目されていませんでした。
しかし今では研究が進み、他にもサーチュイン遺伝子を活性化させる分子が見つかっています。
代表的なものが、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)です。
サーチュイン遺伝子のエネルギーとなるのはNAD+という成分ですが、加齢とともに減少してしまいます。
そこで、NMNを補給することでNAD+が合成され、濃度をキープすることができます。
マウスを使った動物実験では若返りの効果が確認されており、日本でもNMNのサプリメントが販売され、一部の美容・健康意識の高い人たちの間で話題になっています。
アーモンドからレスベラトロールを摂るのも良いでしょう。
いかし、サーチュイン活性化にはNMNの方が効率が良いと言えます。
「まだまだ若い」と感じる方には必要ありませんが、「年齢を感じる」という経験がある方は、試してみてはいかがですか?