赤ワインに含まれるレスベラトロールには、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化させる作用が示唆されており、抗老化・若返りの成分として期待を集めています。
レスベラトロールをラットに与えた実験では、ラットの寿命が伸び、見た目も若くなり、健康な運動能力を取り戻したという結果が報告されています。
しかし、ラットと同程度の効果を人間が得るためには、毎日100本程度の赤ワインを飲む必要があります。
ルサンククリニック院長
長谷川 佳子(KEIKO HASEGAWA)
北里大学を卒業後、横浜市立大学にて美容外科を研鑽。現在は形成外科医として医療を提供する傍ら、思春期の娘と男女双子を育てるワーキング女医ママとして、クリニック治療からホームケアまで情報を発信している。
ルサンククリニック(LECINQ clinic)
サーチュイン活性化に必要な赤ワインの量
長寿遺伝子の活性化に必要なレスベラトロールの量は、まだ研究中のため正確に判明していません。
最近の臨床試験では、1日150mgのレスベラトロールを30日間摂取し続けたところ、カロリー制限と同じ長寿効果が得られたという報告があります。
また、日本国産ワインのレスベラトロール含有量を調べた研究では、このような平均値が出ています。
白ワイン | 約0.1mg/L |
赤ワイン | 1〜数mg/L |
データ:赤ワインの健康効果〜レスベラトロールについて – 佐藤充克 日本ブドウ・ワイン学会
国産の赤ワインには、平均して1〜数mgのレスベラトロールが含まれています。
人間がラットと同じくでサーチュイン遺伝子を活性化させるには、計算上では1日に100本程度の赤ワインを飲まなくてはなりません。
レスベラトロールに期待される効果
レスベラトロールには長寿だけでなく
- 心疾患
- 肥満
- 炎症
- 血管新生
- Ⅱ型糖尿病
- 神経変性疾患
などの疾病への有効性も報告されていますので、積極的に摂取していきたい成分です。
レスベラトロールの含有量は白ワインよりも赤ワインの方が多いので、赤ワインを毎日適量飲むことで健康増進効果が得られるかもしれません。
赤ワインで疾病予防の期待
赤ワインには、長寿効果以外にも様々な効能が示唆されています。
フランスのボルドー大学中央病院のチームが、赤ワインと疾病リスクについて調べた研究があります。
ワインを毎日3~4杯(375~500ml)飲んでいる人は、飲んでいない人に比べ
- 認知症の発症リスクが約5分の1に低下
- アルツハイマー症の発症リスクが4分の1に低下
- 死亡率が約30%低下
という結果が報告されています。
データ引用:Wine consumption and dementia in the elderly: a prospective community study in the Bordeaux area
※フランスの地方に住む65歳以上の3777名を対象に調査。3年後には同地域の2,273人にも追跡調査。
このように、ワインの適度な飲酒は、さまざまな疾病リスクを減らす効果が期待されています。
赤ワインとサーチュイン遺伝子についてのまとめ
- 赤ワインでサーチュイン遺伝子を活性化するには、毎日100本程度飲む必要がある
- レスベラトロールには、長寿以外にも様々な有効性が示唆されている
- 赤ワインの適度な飲酒は、疾病リスクを下げる効果が期待されている
日本人の体質に合うかどうかという懸念はありますが、適度な赤ワインの飲酒は健康に良いとされています。
若返りに期待の成分NMN
赤ワイン好きに朗報だった「赤ワインで寿命が延びる」というニュース。
しかし、大量の赤ワインを飲むのは、肝臓に多大な負担をかけるのでむしろ健康に悪いでしょう。
カロリー制限以外でサーチュイン遺伝子を活性化させる方法では、最近ではNMNという成分に期待が集まっています。
赤ワインに若返り効果を期待する方は、NMNを試してみるのも一つの方法です。