若返り効果が期待されるサーチュイン遺伝子ですが、その活性化にはNMNとナイアシン、そしてNAD+という成分が深く関わっています。
名称がとてもややこしいのですが、NMNとナイアシンは違う成分です。
また、どちらもサプリメントとして健康維持のために飲まれています。
NMNとナイアシンのどちらを飲めばいいのか悩んでいる方に向けて、NMNとナイアシンの違いや、NADを増やすまでの合成経路の違いについてお伝えします。
ルサンククリニック院長
長谷川 佳子(KEIKO HASEGAWA)
北里大学を卒業後、横浜市立大学にて美容外科を研鑽。現在は形成外科医として医療を提供する傍ら、思春期の娘と男女双子を育てるワーキング女医ママとして、クリニック治療からホームケアまで情報を発信している。
ルサンククリニック(LECINQ clinic)
NMNとナイアシンの違いは分子の構造
NMNとナイアシンは、このような分子の構造をしています。
構造の一部が似ていますが、NMNとナイアシンは別の物質です。
どちらも人体の活動に不可欠な成分です。
ナイアシンは2つの分子の総称
ナイアシンとは
- ナイアシンアミド(ニコチンアミド)
- ナイアシン(ニコチン酸)
の2つ分子の総称です。
人の体に不可欠なビタミンB群の一種です。
少なくなると発疹や皮膚症状、口舌炎、下痢などの症状が出る病気「ペラグラ」にかかりやすくなります。
魚介類、肉類、きのこ類、穀類に多く含まれています。
NMNは構造の一部にナイアシンを含む
NMNとは、ニコチンアミドモノヌクレオチドの略称です。
NMNは、構造の一部にナイアシンであるニコチンアミドを含みます。
長寿遺伝子を活性化する鍵となるNAD+の合成に関わっていることから、近年注目を浴びるようになりました。
体内でも合成されますが、食品からも微量に摂取することができます。
NMNは、酵母菌と化学合成の2つ生産方法があります。
しかしどちらも生産コストが高いため、NMNサプリメントも値段が高くなっています。
NAD+が重要な理由はサーチュインの活性化
長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子は、老化の進行を抑えたり若返り効果が期待されています。
サーチュイン遺伝子が活性化すると、体の生存システムにスイッチが入り
- 損傷した遺伝子情報の修復される
- 老化細胞が生まれにくくなる
- 古いミトコンドリアが新しく生まれ変わる
などのメカニズムが起こると、LIFE SPAN(老いなき世界)の著者シンクレア教授(ハーバード大学)は述べています。
サーチュイン遺伝子の活性化にはNAD+という成分が鍵となっており、NAD+が増えるとサーチュインが活性化します。
しかし、NAD+は年齢とともに減少することわかっているため、NAD+を補充することでエイジングケアができる可能性があります。
NAD+の増やし方は前駆体の摂取
NAD+はどのように補充すれば良いのでしょうか?
NAD+は直接摂取することもできますが、分子が大きいため吸収効率が悪いです。
そのため、体内でNADを合成する元になる物質(前駆体)から摂取することが推奨されています。
NADとNMNの違い
NMNとNADは名前が似ており、構造も半分は同じですが、別の物質です。
NMNとアデノシン一リン酸(AMP)が結合するとNADとなります。
体内のさまざまな化学反応を仲介する重要な物質です。
NAD+を増やすにはナイアシンよりもNMN
NAD+を増やすには、ナイアシンとNMN、どちらを摂取する方が効率的なのでしょうか?
ナイアシンは間接的にNAD+の合成に関わります。
しかし、NMNは直接的にNAD+の合成に関わります。
そのため、中間の代謝物によるロスがないぶん、NMNの方がNAD+の増加に効果的と言えます。
ナイアシンもNMNもどちらもサプリメントとして市販されていますが、老化の進行抑制や若返りを目的に選ぶなら、ナイアシンよりもNMNを摂取した方が良いでしょう。
とはいえ、ナイアシンはNADの合成に関わっているだけでなく、うつ病を予防する効果も示唆されています。
これまでナイアシンのサプリを定期的に飲んでいる方は、引き続きナイアシンを飲み続けることで健康維持につながるでしょう。
もしもNMNをサプリから摂取する場合は、以下の記事を参考に、純度や品質をよく調べてから選ぶようにしてください。
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